ソフトウェア研究室

#01 FM-7の総ソフトウェア数は?

本サイトのソフトウェアミュージアムは、完璧ではないにしろ、かなりの数のFM-7シリーズ用ソフトを抽出することができたと思います。それではFM-7シリーズ用に発売されたソフト総数は、いったい何本に上るのでしょう?

結論からいうと、はっきり○○本と示すわけにはいきません。そこには、様々な問題が内包されています。

例えば、電波新聞社の「ゼビウス」。これは通常版とは別にジョイスティック同梱版があり、さらに「ゴールドメタリックジョイスティック」が同梱された限定版が発売されました。この3作を別々にカウントするか、それともゲーム自体は同じだからということで1作とカウントするか、それによって総数が変わってきます。

似たような例には、スタークラフトの「Wizard and the Princess」があります。最初に出たオリジナル版、マシン語化されたアップグレード版、価格が下げられた普及版と、やはり3種類のパッケージが存在します。

また、1本のパッケージに複数の作品が収録されている場合(キャリーラボの「フライトシミュレーター&スペースビー」など多数あり)、あくまで1作と数えるか、それとも収録作品数だけ加えるかという問題があります。

ほかにも、一度発売されたソフトが別の新作とカップリングされて再発売されたという複雑なケース(ボンドソフトの「大相撲/グラフィック花札」など)もあり、総ソフト数の算出を困難にしています。

さすがにバグの修正などによるアップグレード版までは気にする必要はないでしょうが、どこまでを同一視するかは難しいところです。

それでもこれらは存在が判明しているソフトですから、とりあえず数を数えることはできます。問題は、“ソフトの存在をどうやって確かめるか”です。

本ミュージアムの作成方法は、当時のパソコン雑誌や書籍を片っ端から調査し、発売されていたであろうソフトを抽出してゆくという作業が基本でした。未だすべての雑誌・書籍を調査し切れてはいませんが、大半のソフトをピックアップすることはできたと思います。

しかし発売されたソフトが、必ず雑誌の記事、広告に掲載されたわけではありません。出版メディアに(おそらく)全く紹介されないまま発売されたソフトは珍しくありません。こういう場合は、ソフトそのものでしか存在を確認できないわけです。

そもそもFM-7も含めたパソコンゲームというのは、大規模なソフトハウスから町のパソコンショップに至るまで、様々な会社が、いわば好き勝手にソフトを発売していました。

ファミコンやプレイステーションなどのコンシューマー機は、原則としてハードウェアの発売元とのライセンス契約がないとソフトを発売できません。そのためほぼ完璧なソフトウェアのリストを作成できるわけですが、特定の機関の管理下になかったFM-7では、ソフトの追跡が非常に困難となるわけです。

例えばスターパックというソフトハウスからは少なくとも3本のソフトが発売されているのがわかっていますが、それを知ったのは、ある方から情報を寄せていただいたからでした。雑誌などではこのソフトハウスの名前は全く目にしたことがなく、もしその情報がなければ、未だにリスト漏れしたままになっていたかもしれません。

また、パソコンショップが発売していたソフトも確認が難しいカテゴリーです。九十九電機富士音響マイコンセンターRAMなどは、ソフトが自らのショップ以外でも広く流通していましたし、雑誌に広告も出していたので問題ないのですが、マイコンベース銀座(オムロン マイコンシステムズ)やコンピュータ ビジョンなどのソフトはおそらく自店舗での販売が中心で、どこのショップでも買えたというわけではなかったようです。この場合、そのショップが雑誌に広告を出すか、紹介記事があれば少なくとも資料としては残りますが、そうでないとなるとソフトそのもの以外には手掛かりをつかめないことになります。

富士通が何らかの手段で管理をしてくれればよかったのですが、あまり頼れる存在ではありませんでした。一応ソフトカタログを何種類か発行してはいますが、いずれも漏れているソフトが相当多く、不完全なものといわざるを得ません。しかしそのおかげで、調査によって未知のソフトを“発掘”するという喜びを味わえるのも確かですが・・・。

このように、総ソフト数の算出は事実上不可能ということになるわけですが、それでも埋もれたままになっているソフトが何百本もあるとは考えられませんから、現在判明しているソフトだけで大まかな数字は出せると思います。

こちらからダウンロードできる「掲載全ソフトウェアリスト」には3,600本以上のソフトがピックアップされていますが、ここから未発売のソフトを除き、複数作収録ソフトは収録作数分カウントするという方法で総数を算出してみると、約3,400本という数字になります。もちろん、まだチェックしていない雑誌・書籍もありますが、とりあえずFM-7シリーズ用に発表されたゲーム、ホビー系ソフトは3,400本+αと見なしてよいでしょう。

実際はこれにビジネス、教育、言語、ユーティリティーなどなどのジャンルのソフトが加わります。これが結構な数になり、市販されたものだけでも、1984年4月発行の富士通のソフトカタログでザッと数えたところ約900本にもなりました。これ以降発売されたものを加算すると、1,000本を優に超えるのは間違いないでしょう。これだけで総ソフト数は、5,000本近くということになります。

さらに、雑誌・書籍に掲載されたゲーム以外のプログラムを加え、同人ソフトや個人で作成したプログラムまで考慮するとなると、もう概算すらはじき出せない数になります。

FM-7は「PC-8801に比べるとソフトは少なかった」などといわれ、また実際及ばなかったわけですが、その全貌を容易に把握できないほどのソフトが発売、発表されていたとはいえるでしょう。


公開日:
2003年08月23日
更新日:
2011年12月18日