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#03 謎のゲームプログラマー

当時は、ゲームの作者が表に出ることはあまり多くありませんでした。芸夢狂人氏や木屋善夫氏などの有名人もいましたし、エニックスなどは作者を前面に出していましたが、どちらかというと隠れた存在という感が強かったと思います。

そんな中でも、その存在を謎めいたものにすることを一つの売りにしたような人物が何人か見られました。

その筆頭に挙げられるのは、やはり光栄のシブサワ・コウ氏でしょう。長年、その正体はおろか、存在そのものが怪しまれていましたが、最近本人自らがその正体を明らかにし、謎が解けました。

シブサワ・コウ氏と並んで謎の存在となっているのがマーク・フリント氏です。FM-7用のゲームはありませんでしたが、PC-9801に「Valiant」や「Zone」といった16ビット機ならではの質の高い作品をシステムサコムから発表。中でもピンボールゲームの「Moon Ball」は大きな話題となりました。

しかしフリント氏については、1943年9月11日生まれ、テクサス州パサデナ出身、ヒューストンの商社に勤務、といったプロファイルは明らかになっていましたが、なぜか自身は姿を見せません。

システムサコム側もその存在をハッキリとさせていないようで、架空人物説も根強く残っています。

昔から実在か否かが取り沙汰されていた人物といえば、高橋はるみ氏を忘れるわけにはいきません。女子高生プログラマーとして『マイコンBASICマガジン』誌上でJR-100向けなどのゲームを次々と発表。『えと、このゲームは「おはなばたけ」で「ボールくん」が地面におっこちちゃわないように、「お花」のうえを「ピョンピョン!」とびまわっちゃうっていうゲームなの。エヘッ!』(『マイコンBASICマガジン』1983年7月号より)といった独特の文章もあいまって、カリスマ的な人気を誇っていました(と思います)。

当時、マイコンを持っていたのは圧倒的に男性が多く、女性で、しかも常連投稿者にまでなるというのは相当に珍しいことでしょう。しかし、逆にその事実が存在を怪しいものにしてしまったといえるとも思います。つまり、「そんな女子高生がいるわけない」というわけです。

フリント氏同様、こちらも架空人物説がささやかれているようです。彼女は実在するのでしょうか?

氏は『マイコンBASICマガジン』誌以外にも活躍の場を広げ、ナツメ社から何冊かの本を上梓しています。FM-7向けには『はるみのゲーム・ライブラリー』というのがありますが、この本の著者紹介を見ると、しっかりと“女子高生”と書いてあります。

とはいっても写真が載っているわけでもなく、これだけではにわかに信じられません。ですが、発売元が『マイコンBASICマガジン』の電波新聞社ではなく、ナツメ社だということが引っかかります。自社の本ならともかく、他社が架空の人物を著者として発売することが道義的に許されるかということです。

こう考えると、実在したのでは? とも思えますが、彼女は「FORESIGHT」というパソコンサークルに所属していたそうで、そこのメンバーが作り上げた架空の存在と考えられなくもありません。

いずれにせよ、こちらも真相は闇の中です。

そのほかにも、本名を明かさず、姿も見せないというプログラマー(またはデザイナー)は何人かいました。ボンドソフトのネコジャラ氏、ZAT SOFTのひゃあ。えふ氏、光栄のロッキー・ハヤセ氏、チャンピオンソフトのビックス・マイコ氏などです。

ただ、こういったものはすべて明らかになってしまうのではなく、謎のままになっていたほうが楽しいような気もするのですが、どうでしょう?


公開日:
2001年05月04日
更新日:
2007年06月21日