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異次元からの脱出
- 1984年
概要
日本ファルコムはそれまで「ホラーハウス」などのアドヴェンチャーゲームを出していましたが、FMではこれが初のアドヴェンチャーです。正統派のアドヴェンチャーですが、当時のファルコムらしい、オカルティックな雰囲気を持っています。ゲーム後半は三次元迷路となっています。
ストーリー
気がついた時、私は暗い森の中に倒れていた。……それも見知らぬ異様な森に!!気を失った時に、どこかにぶつけたのであろうか?後頭部がずきずきと、心臓の鼓動に合せて痛む、その後頭部を右手で押さえ、あたりを見回す。……それにしても、いったいこの森はどこなのだ!?。そうしているうちに、昨日の夜に起きた事が思い出されてくる…………………………
「そうだ!!あの霧は!!」
あの夜、私は人通りのまったく絶えた市街を歩いていた。道にはわずかな外灯だけが、ほのかに輝いている他には、固いコンクリートだけが延々と続いている。そう、暗闇の中に、「しかし、なぜこんなに今日は寒いのだろう」私は、コートの襟を思わず立てながらつぶやいた。コート自体着なければならない事からしておかしい、もう暦は5月だと言うのに、それにしてもなぜか、今日は朝からツイていなかった。車は故障してしまい、会社には歩いて出勤するはめにはなるし、会社は会社で、デスクの上には、崖崩れを今にも起こしそうな山、それも書類の山がいつの間にか出来ていた。「そうか!?山は1日にしてなるもの……なのか?」……ボスが言うには、今日までに仕上げなければならない仕事をほったらかして休んだバカ者が3人もいると言うのだ。そいつらの仕事が、私を待っていたわけだ……私はおかげで、たっぷり夜中の1時まで残業するはめになってしまった………やっと仕事から解放されたと思うと帰りは帰りで地下鉄の中では、いやと言うほど酔っぱらいにはからまれ、夜道を歩けば野大には足は噛まれるし、もっともその犬は、私のアタッシュケースの反撃を受けることとなったが……
さらに、5月だと言うのに。北風の吹く異常に寒い日……
「まったくなんと言う一日なのだろう」夜の市街には、私のたてる足音だけが、不気味なほど響いている……。ときたま、遠くの方で、大の遠吠えが聞こえるがそれはやけに、とぎれとぎれだ、おおかた、風邪でもひいたのだろう。暖かいベッドが待っている自宅までは、あと30分は歩かなければならない。市街を走るバスは、地下鉄と違って、最終便が早く、すでに時計は、その時間を2時間もオーバーしている事を示していた。タクシーすらもさすがにこんな時間に走っているとは思えない……ガスの無駄使い以外のなにものでもないのだから………「まったくひどい日だ」。私はつい、道端にころがっていたつぶれたビールカンを思いきりけとばす、ビールカンは、ものすごい音を残して、暗闇の中に消えていった。……
圧倒的な暗闇では、まばらにしかない外灯は、ほんのアクセサリー程度のものでしかない……右の角を曲ると、それらの役立たずの外灯がやけにぼうっと、まったくなさけなく輝いているのが目に入った………よく見ると、よく、と言うよりは、目立ったからだが。それは、電球が古ぼけてしまったせいではなく、霧があたりに出ていたからであった……「今度は霧か・・・・」私は、いつの間にか、霧でコートがうっすらと湿り出しているのにも気がつく……「霧に消えゆく男か……」ふとそう思い、苦笑いする、歩くにつれて霧は深くなる一方だった。それとも、霧の方が、私の周囲に集まって来るのか?獲物に群がるハイエナの様に……しかし、それはただの霧にすぎないのだ……霧が深くなるにつれて、足元すらも、ほとんど見えなくなる。5、6分も歩いただろうか?そろそろ左の角を曲がらなくてはいけないのだが、私はさっきからその角を探していた、「あれ?」私は立ち止り、あたりを見回す。
「あれ、あかしいな」……私はいつの間にか広場の様な所に来てしまったらしい。見回すと、前後左右に、それぞれ同じくらいの距離に外灯のものらしい薄明りが、ぼうっと輝いている。私は後戻りする事にした。5、6分と思っていたのは実は20分ぐらいで、とうに曲るべき所を見落してしまったのかもしれない。前方、かなり近くの方でぼうっとした薄明りに導かれるかの様に私は歩いていた。気のせいだろうか?さっきから、やけに暖かく感じる……かなり歩いているのか?。私は立止り、アタッシュケースを下に置くと、時計を見てみた………しかし残念な事に、時間は“2:00"を示したまま、ピタリとも、動かない………「電池が切れ…………」いや、私ははっと気がついた。今自分は、内蔵のライトをつけたではないか。私はもう一度、時計を見る……“2:00"のままだった………私の内側で、通常は眠っているものが起きたようだった。私はあたりを何度も見回す、まったく変っていないではないか。前後左右にやはり同じように、薄明りが、ぼうっと輝いている。私の内側で眠りから、起きたのは、恐怖であった。それは私を捕え、私は恐怖にかられ一目散に走り出した。何かがおかしいのだ、ここは………急激な運動により、肺と心臓は悲鳴を上げていた。意識はまるで、自分自身を上からながめているようだ。そう、恐怖と言う名の悪霊に自分自身が自分の肉体から追い出されてしまったかの様に。
いったいどのくらい私は走った事だろうか?ただ心臓と肺が火に焼かれるかのようだった。意識ももうろうとなり…………ただ、自分がすでに走る事をやめふらふら歩いているのを感じる…………やっと私は自宅にたどりついた様だった……それもいつの間にか??………ドアをそれも疲れているのだろうか、やけに重いそれをなんとか開け、中に入り込むと……ドアによりかかって天井をぼうっとながめる「やっと………」……と突然、けたたましいベルの様な音が響き出した。はっと意識がさめる………そして私がよりかかっているドアは自宅のドアではなく、どこかの電話ボックスのガラス戸だったのだ。けたたましく私の耳に響いているのは、ボックスの中の電話だった。それにしてもいつの間に電話ボックスに行きついたのか?私はなぜ自宅と間違えたのか?夢でも見ているのか??ベルはいつまでも鳴りやもうとはしなかった………鉛の様に重い腕を受話器にのばす…………ベルが鳴りやむ……しかし私には、息つくひまはなかった。ベルが鳴りやんだとたん、あたかもスイッチが入ったがごとく、ものすごい衝撃が私の背後よりやって来たのだ!私は前に激しくつんのめる……ガラスの壁が顔に!思わず腕を出す、しかし、何も来なかった。そのかわりに私は、何もない暗黒の空間に落下してゆく、限りなく無限に……そしてものすごい速さで……………意識が、次第に薄れてゆくのを感じた……ものすごい雑音が、頭の中をうずめてゆく…………。
気がついた時、私は暗い森の中に倒れていた。後頭部が、心臓の鼓動に合せて痛む………私は暗い森の中にいるのだ……しかし一体、ここはどこなのだろうか、そしてどうしてここにいるのか!!………。
結局の所、あの霧がなんだったのかは、わからなかったが、私が、ここにいる事と何らかの関係があったことは確かだ………私は少しこの森の中を歩いて見ることにした。ひょっとしたら、単に、地下鉄の駅を降り間違がえてどこかの公園で、一夜を過ごしただけなのかもしれない、時おり、さわやかな風が、私を通り過ぎてゆく、これであとどことなく感じる不気味ささえなければ、文句ないのだが………もっとも、今の所それは、気のにしてもよかった……どことなくこの森は、ノルウェーの森を感じさせさえもする……もっとも、私が子供のころ母親によく読んでもらった絵本の中の魔女の住む森にだが、しかし、歩き回るうちに、そんなはだるい安心感など、消えてしまった、「悪い夢ではないな」そう独り言をつぶやく、もっとまずい事に、これは悪い現実なのだ、やはりここは、別の世界なのだった……どこにも出口がない、閉ざされた世界である事を知らせるはめになるだけだったのだ。歩くことは!!
例の絵本のように、森をぬけると城があるとはいかない、いや、これは悪い冗談なのだ……と、なんとか自分に信んじさせようと努めたが、意識はそうするには、あまりにも覚醒しすぎている。そして自分が、思ったより悪い状況におかれている事をぐずぐずしているうちに知らされるはめになってしまった………私が、それに気づかず、けっとばしてしまったのは、別に不注意であったわけではなかった、草の中に隠れていたのだから。「石か?」私は、草の影から、けり出されて少し先の地面の上で、ゆらゆらゆれている白く丸いそれを見ながら、そう思ったが、石があんなに軽いはずがない。それはやけに不安定らしく、まるでダルマのように前後左右にゆらゆらゆれていた……やがて、落ちついたらしく、大きくグラッとゆれると、ピタリッと、その真の姿を私にさらす事となった………。
「わっなんだこれは!!」私はその白いものが何であるか知るが早く、背筋に、冷たいものが走り去ってゆくのを感じた………それは、髑髏だった………私もひょっとしたら………そう思ったとたん、新らたな恐怖と危機感が、すぐにやって来た、早くなった心臓の鼓動と、血管の収縮は、まさに、私を震え上がらせるもの以外のなにものでもなかったのだ。
閉ざされた世界……つまりこの森と、そして、私の眼前にて、何かを語るまいとしている髑髏………私は自分自身に問いかける……一体、この髑髏は誰なのだろうか?……いやいや、そんな事!わかるわけがない。それより、この髑髏も私と同様に、この世界に、迷い込んだ人のなりの果てなのだろうか?私は思わず、十字を切る、冗談ではない!人を勝手にこんな所へ連れて来て、ああなれと言うのか!!………恐怖に交ざった怒りは思わず言葉となったが、それを聞く者は誰一人としてなく、ただ、空を切るだけであった。
とりあえず、私は、その場から離れる事にする……あの世の人と、面を向かって話す気にはなれなかったから………ポケットに右手を入れ、タバコを探す……こう言う時こそ、タバコの効果があるものなのだが、ポケットの中で、指がさぐりあてたものは、ただの紙切れだけだった。「そうかタバコは、あのアタッシュケースの中……」。私は、夜、逃げようとした時に、うっかりアタッシュケースを置いて来てしまった事を今頃思い出したのだ。もっとも、本人が、消えてしまえば、それが、どこにあろうと、関係はない………そうも思えるが………気易めに、その紙切れを広げてみる……それは走り書きのメモだった。
「宇宙の唯一の絶たいなる存在、これこそが、神と呼ばれているものである、全ての宗教は、それを唯一の真理だとしりながら、人々に問く事を拒ばんでいる。その存在者が、三つの分身と呼ばれている霊光を持っている事はしかし誰でも知っているのだ。父、子、聖霊なる神、三身一体なる者として、しかし、三身が一身となるのではなく、神は、1つのものから、三つの流れが出されていると言うのが真実であろう。それは意志、英智、活動であり、ある人は問く、その三つの霊光が、聖なる三角をなす時、真の神なる者の姿が現らわれるであろう………と。」
「なんだ、あれか!」私には、そんな事はどうでもいいのだ、私がしなくてはならない事は、つまらぬメモを読む事ではなく、この未知の世界から、私の世界に戻る事なのだ、私のいる、本来の世界に!!
マニュアルより
タイトルデータ
- 読み/カナ
- イジゲンカラノダッシュツ
- 読み/ローマ字
- ijigen kara no dassyutsu
- 欧文表記
- ESCAPE FROM TWILIGHT ZONE
- パッケージ表記
- 異次元からの脱出
- 画面表記
- Escape from Twilight Zone
- 別表記
- -
- キャッチフレーズ
- -
詳細データ
エミュレーター動作
- XM7
- ○(正常動作)
- eFM7
- ?(未確認)
- EM7
- ○(正常動作)
- EM7 [FM TOWNS版]
- ○(正常動作)
- 公開日
- 2022年01月20日
- 更新日
- 2022年01月20日
- 公開日
- 2022年01月20日
- 更新日
- 2022年01月20日