アストロロジー・スクランブル

突然サタンの使者ガニメーデがジェミニのもとに不吉な笑いをうかべながら一通の手紙をはこんできた。

『星から星へと悪魔の風は吹き渡る

風にふかれて雨にうたれて、星から星へと吹き渡る

おまえが　いくら　わめいても

死ぬまで　おまえを　のがさない

アクアリアスは闇の中

誰も彼女をすくえない……

ジェミニよ、アクアリアスはわたしがもらった。もし、アクアリアスをとりもどしたいのならば私のもとへ、やってこい。フッフッフッ……』

それはジェミニの最愛の人アクアリアスを誘拐したという悪の帝王サタンからの手紙であった。

ジェミニの胸に熱く燃えるものがわきたった。

「サタンめ！何ということを！アクアリアス待っていてくれ。すぐに君のもとにいくからな」

あわただしいジェミニの旅立ちである。愛機ルナ・ポルックスにひとり乗りこむジェミニ。そこに声をかけるものがあった。ジェミニの父ゼウスと母レーダであった。

「ジェミニ！サタンは手ごわい相手だ。おまえひとりの力では危い。マーキュリーを連れていくがよい。きっとおまえをたすけてくれることになるだろう……」

「ジェミニ……わたしはあなたを信じています。きっとアクアリアスを無事連れてもどってくると……　でも、あなたの行手に待ちかまえる困難はたいへんなものでしょう。あなたを守ってくれるように星に祈ります。星の力を信じなさい」

暖かい父と母のことばであった。ジェミニは父のことばに従いマーキュリーをつれ、ルナ・ポルックスに乗りこんだ。母のすすめで出発は旅をつかさどる守護星月の都アルファの宇宙港からである。今まさに旅だとうとする彼の心は、これからの道のりに思いをはせ闘志で燃えたっていた。

「アクアリアス！」

天の星は最愛の人アクアリアスを探すこの旅に微笑をあたえてくれるのか、それともつらく憂き目を見させるのだろうか。

愛の旅は今はじまる。

マニュアルより