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オルリー空港殺人事件
- 1983年
徹底研究/オルリー空港殺人事件~ゲーム展開-04
パリ市内捜査 その3
再びニッコーに行って「ニオイ シラベロ」とすると、香水の匂いが! それぞれに好きな香水を尋ねると、ナオコは答えてくれませんが、キョウコは「シャネルの香水が好きです」と答えてくれました。
事件関係者でシャネルの香水を使っているのはほかにおらず、彼女ただ一人のようです。
ノヤマ氏と接触していたのは、唯一のシャネル愛用者であるキョウコと判明しました。これは決定的です。いや、とても決定的とは思えないのですが、「ソウサオワリ」と打ち込んで犯人名と理由を入力してみます。すると、「完璧です」とのメッセージが! 犯人はキョウコだったのです。
エピローグ
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最後のプログラムがロードされ、物語はエピローグを迎えます。ここでは犯人のキョウコが犯行の動機、そしてどのように殺人を行なったのかを語ります。
それによると……旅行が好きで航空会社に就職し、パリで一人暮らしをしていたキョウコの前に、ヨーロッパ担当となったノヤマ氏が出現。2人は交際するようになりました。
そして結婚の約束までしたのですが、ふとしたことからノヤマ氏が実はすでに結婚していたことがキョウコにばれてしまいます。ノヤマ氏はヨーロッパ担当の間だけキョウコに近づき、その後別地域の担当に変わったときに別れるつもりだったのです。
それを知ったキョウコはショックを受け、ノヤマ氏の殺害を計画します。結婚資金の200万円を使ってノートルダム寺院の浮浪者に殺人を依頼し、事件当日、旅行者の忘れ物があるからとノヤマ氏を空港の近くに呼び出し、あとは浮浪者に任せたそうです。
シャネルの香水は、いずれ罪を償いたいという気持ちで、浮浪者に頼んで衣服に匂わせたということでした。
ゲームを終えて
それにしてもこのゲーム展開は、あまりにも無理がありすぎます。まず遺留品捜査時の「ニオイ シラベロ」は、思いつけというほうが無理でしょう。香水がついていることを示唆するような手掛かりがあるのならともかく、何も提示してくれないのですから。「何かの匂いがします」と出してしまったらゲームが簡単になってしまうことからの処置でしょうが、基本的に視覚に頼るしかないコンピューターゲームで嗅覚を求めるのは無茶です(Infocomのゲームで嗅覚を使うものはありましたが)。
そして犯人の特定が、シャネルの香水を使っているという理由だけなのは納得できません。キョウコがシャネルの香水を使っていたといっても、遺留品の香水がキョウコのものだとどうやって判断したのでしょう? 同僚のナオコや他の人がシャネルを使っていた可能性もあるわけです。しかもキョウコとノヤマ氏の関係が明らかでなく、動機も不明のまま逮捕してしまっているのですからなおさらです。
舞台は確かにパリなのですが、その特色を活かしているとは言い難く、パリ市内のグラフィックスも本当にわずかしか用意されていません。プログラムリスト中には「ホントウ ハ コノアタリ ゼンブ フウケイ ガ ハイルハズ ダッタンデス. メモリ フソク ゴメン.」という作者の言い訳が見られますが、もう少し観光気分を味わわせくれてもよかったのではないでしょうか。
各登場人物も個性を活かし切れていなく、質問をしても似たようなことしか答えませんし、被害者との関わりが今ひとつ明瞭ではありません。何人かは関西弁をしゃべるのですが、パリが舞台で関西弁はないだろうという気もします。おそらくビックス・マイコ氏が関西人なのではと思われますが、まさかこれも「ポートピア」の影響なのでしょうか?
とにかく、短期間でムリヤリ仕上げてしまった感が強いです。もっとも、もう少し時間を費やしたところで劇的に良化するとも思えませんが……。