コラム,雑誌・書籍

今年(2022年)5月に発売された「PC-8801パーフェクトカタログ」(ジーウォーク刊)ですが、当サイト掲載の画像が無断で使われているようです。
PC-8801とFM-7はともに多くのソフトで640×200ドット8色のスクリーンモードが使われているので、パッと見ただけでは見分けのつかない(=たまたま同じ画面を使っている)ものもあるでしょうが、偶然の一致とは思えない画像が多数見受けられます。本をお持ちの方は、見比べてみてください。
たとえば、p.066の「神経衰弱」、p.067の「7ならべ」、p.076の「四人ポーカー」。カードの数字の位置が当サイトのものとまったく同じです(拡大しないと見にくいですが)。

神経衰弱
https://fm-7.com/museum/products/aor0izzc/

7ならべ
https://fm-7.com/museum/products/y7g1wp88/

4人ポーカー
https://fm-7.com/museum/products/unin730y/

ほかにも、p.072の「麻雀狂」、p.073の「国士無双」といった麻雀ゲームも、表示されている牌がまったく同じです。

麻雀狂
https://fm-7.com/museum/products/r5yc7as2/

国士無双
https://fm-7.com/museum/products/m5om7wt0/

これらが偶然同じになることは、ありえないと思います。

さらに、p.072の「大石油王」やp.101の「MYパコfamilyのドリームパック」(この画像はPC-8801のゲームですらない)では、プレイヤー名として使っている私の名前(Laver)が入っているのが確認できます(かなり拡大しないと見えないですが)。

大石油王
https://fm-7.com/museum/products/g93aqi9r/

MY♥パコfamilyのドリームパック
https://fm-7.com/museum/products/xjaqxl8q/

以上の点から、当サイト掲載の画像が使われているのは明らかだといえます。
ほかにも転用だと断定できるものはいくつかあり、断定はできないが怪しいものも含めれば、かなりの数に上ると思われます。

本の発売前も発売後も、監修者、編集スタッフ、出版元からの連絡は一切ありませんでした。
無断転用を禁じていることは、以前から記載しています。
https://fm-7.com/about/

こういうことをされるのは、とても残念ですね。
「あなたもソフトの作者や発売元に無断で画像を掲載しているのでしょう?」と言われれば強くは言い返せませんが、商用の書籍(正確にはムックですが )でこのような手段を採るのはどうなのでしょう。
確かに私も大半の画像は無断掲載ですが、商用目的ではありませんし、掲載画像は提供していただいたものか、私が自前で用意したものです(一部のスキャン画像は、その旨を記載しています)。他サイトから無断で転載したものはありません。

画像を提供していただいた方も不快な思いをされるかもしれませんし、「PC-8801パーフェクトカタログ」なのに掲載画像の多くが実はFM-7版であったら、読者も裏切られた気分になると思います(FM-7版の画像を使用していることは、誌面のどこにも記載されていないですね)。

今回の件に関して私のほうからああしろ、こうしろというのはありませんが、今後同様な書籍を出されるのであれば、このようなことはしないでいただきたいです(既刊の「パーフェクトカタログ」の他機種版はどうなのでしょう?)。

 

残念といえば、この本は首を傾げたくなる箇所も多数目につきますね。
せっかくなのでいくつか挙げさせていただくと……

p.049 ゾーク Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ
これは発売されていないでしょう。ゾーク3部作をパッケージにした「Zork Trilogy」が向こうで発売されたのが1986年(もしくは1987年?)なのに、1982年に3部作のパックが、それもPC-8801版がInfocomから発売されていたのはありえないと思います。
掲載の画面が何に由来するのかはわかりませんが(某サイトかな?)、『ログイン』1984年5月号に“PC-8001の56K CP/M上で走る”とあるので、PC-8801で動いているのだとしたらCP/M版の画面じゃないですかね。

【2024年9月5日追記】
――と書きましたが、発売されていたかもしれない情報を見つけました。『ソース』Vol.3にPC-8001用ソフトとして記載がありました。ただし発売元はインフォコムではなく日創で、タイトルは「ゾーク Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ及びデッドライン」となっています。つまり「ゾーク」3部作に「デッドライン」もプラスされた4作収録のパッケージらしいです。価格は13,000円とありますが、「ゾーク」の3作についてはそれぞれ10,000円という記載もあり、単品発売があったようにも見て取れます。どういった発売形態だったのか、どうもよくわかりません。
発売元の日創はアップルの販売代理店でもあったので「ゾーク」の発売を手掛けていたとしてもおかしくないといえますが、当時の雑誌の広告をザッとチェックした限りでは、日創の広告に「ゾーク」の名前は見つかりませんでした。
いずれにせよこのソフトについては、発売されていたかもしれないと訂正させていただきます。もっともPC-8001用ソフトですので、この本の対象外になるとは思いますが。

p.049 コスモクロス パート1
「パート1」というのは3つに分かれた各パートの開始時に表示されるタイトルの付加文字であって(実際はアルファベット表記の「PART-I」)、ソフトのタイトルには含まれないのでは?(「PART-II」、「PART-III」も表示される)

p.056 おてんばベッキーの大冒険
『プロコン』1984年6月号の広告に記載されている対応機種は、FM-7とPASOPIA7のみ(のちにMSX版も発売)。PC-8801で出ていたんでしょうか?(「PC8801ゲームライブラリ」掲載の画像は、私が提供したFM-7版です。その際に進言すればよかったですが)少なくとも1983年の発売はないと思います。

p.057 宝島
パッケージ画像が新紀元社の「宝島」になっています。
そもそもアクロポリスの「宝島」はPC-8001以降対応のようなので、対象外なのでは?(同ページの「梅地下パニック」も同様)

p.061 キングアウト、コンボイ5000
発売元がなぜかキャリーラボ。ニデコ(ニデコム)のソフトでキャリーラボが関わったのは、ニデコムキャリーソフトとして発売されたものだけだと思います。

p.085 スーパーコンボイ
確かにアクション部分も一部にありますが、メイン部分はシミュレーションです。

p.097 ミッションインポッシブル
正しくは「ミッション インポシブル」。
パッケージ画像がコンプティークの「インポッシブル・ミッション」になっています。

p.101 MYパコfamilyのドリームパック
p.123 ドリームパック
同一のソフトが2つ掲載されている? 『テクノポリス』の広告では前者しか見当たりません。
また、正しくは「MYパコ」ではなく「MY♥パコ」です。

p.133 ドラゴンスレイヤー ログイン版
「ドラゴンスレイヤー」(p.111)のジャンルはRPGなのに、こちらはACTになっています。
また、リスト掲載は『ログイン』1986年4月号なので、発売は1986年3月(8日)です。
このソフトが入っているということは、「月刊テープログイン」収録作も対象ということでしょうか? ただ、これ以外の収録作は掲載されていないようですが。「月刊テープアスキー」収録作もp.090になぜか2作だけ掲載されていますね。取捨の基準がわかりません。

p.065 火の鳥
p.142 日本縦断ウルトラクイズ
いずれも発売中止になったと思いますが、発売済みのように書いてありますね。何か根拠があるのでしょうか?
※「日本縦断ウルトラクイズ」の作者による発売中止について記事
http://mjkozou.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/01_a68b.html

*発売元名の誤り

Xツクモ電気
○ツクモ電機
※そもそも表記は「九十九電機」、「ツクモ」が一般的で、「ツクモ電機」の表記はパッケージや広告中には見当たりません。

Xコズミックソフト
○コスミックソフト

X秀和システム
○秀和システムトレーディング
※「ジ・アドベンチャー」(p.110)発売当時は秀和システムトレーディングでした。

Xブローダーバンドジャパン
○ブロダーバンドジャパン

Xシャノワール
○シャノアール

まだまだありますが、私も数え切れないほどミスを修正していて人のことはあまり言えないので、このぐらいにしておきます。
結局この本の「PC-8801ゲームソフトカタログ」の大半は、ネット上の情報を検証もせずにまとめただけのように見えます。元のサイトの誤った情報をそのまま持ってきてしまっているため、おかしなところが多々見られるのでしょう。
書籍の形で出すのでしたら、ご自分で調査されるべきだと思います。

ソフトウェア,雑誌・書籍

前回の記事でも取り上げた、eighttails氏が公開されたOCRソフト、「Program List OCR」でいくつかのプログラムリストを認識させてみました。

 
プログラムリストとプリンターの関係について

プログラムの打ち込み経験のある方ならご存知かと思いますが、当時の出版物に掲載されたリストは、プリンターで出力したものをそのまま掲載するという形を採っていました。そしてよく見ると、雑誌によって、あるいは機種によって、リストの字体が異なっているのに気づかされます。
これは、FMシリーズ対応、PCシリーズ対応、MZシリーズ対応……といったように、各々のPCに対応したプリンターが存在したためです(ただし、複数の機種に対応したプリンターも少なくはありませんでした)。各プリンターが持っているフォントの字体がそれぞれ異なるため、様々な字体によるリストが掲載されることとなったわけです。

さらに、たとえばFMシリーズ対応プリンターは多数発売されていたので、雑誌AはX社のプリンター、雑誌BはY社のプリンター……というように、同じFMシリーズ用のリストでも雑誌ごとに字体が異なることとなりました。もっといえば、同じ雑誌でも年代によって採用プリンターが変わったりもしています。
これらのことはたとえば、多数の機種のリストが掲載されていた「マイコンBASICマガジン」を見るとよくわかります。リストを見ただけで、どの機種用のプログラムかがわかるというケースもありました。

それでも、現在の一般的なOCRソフトは多少の字体の違いも読み取ってくれるものですが、当時のプリンターは解像度が低かったのに加え、前述のようにプリントアウトしたものをそのまま掲載しているため鮮明さに欠けるケースも多く、OCRで認識させるのは困難であろうことは容易に想像できます。
にもかかわらず、この「Program List OCR」は高い精度でリストを読み取ってくれます。PC-6001用リストに合わせて言語ファイルを作ってあるということですが、前回の記事でも取り上げたように、FM-7用リストでもきちんと読み取ってくれました。
とはいっても、FM-7用リストも掲載誌、あるいは時期によって様々な字体が使われており、一括りにできるものではありません。そこで検証の意味も含めて、4つほどのプログラムリストを認識させてみました。イメージ化を行なう際の参考になれば幸いです。

なお、リストのスキャン画像は、「Program List OCR」のマニュアルにあるように600dpiで取り込み、画像補正やグレースケール化などを施したものを読み取らせています。リストの編集には「サクラエディタ」を使用し、行番号、予約語、REM文、ダブルクォーテーション内文字などに色づけをして見やすくしてあります。フォントはVLゴシックを使っています。